SaaS SELECTION POINTS
中小企業のSaaS選定のポイント
失敗しないための7つの判断基準
「安いから」「簡単そうだから」という理由だけでSaaSを選んでしまい、導入後に使いこなせなかった経験はありませんか。SaaS選定は、中小企業のIT化において重要な意思決定のひとつです。判断軸を持たずに選ぶと、月額料金は安く見えても、設定作業や社内教育、サポート不足によって、結果的に大きな負担になることがあります。
結論:SaaSは「安い・簡単・すぐ使える」を鵜呑みにせず、コスト・サポート・カスタマイズ・出口の4軸で比較することが大切です。
こんな経験はありませんか?
- 安さで契約したが、必要な機能が足りなかった
- 「簡単設定」と聞いたが、運用開始まで数か月かかった
- 電話サポートがなく、業務が止まってしまった
- 自社業務に合わず、業務をSaaSに合わせる羽目になった
CONTENTS
この記事で分かること
導入前に知っておく
失敗しない7つの判断基準
まとめ・実践・ご相談
COMMON FAILURES
こんな失敗、起きていませんか?
SaaS導入でよくある失敗を整理しました。ひとつでも心当たりがある場合、SaaSを比較する前に「何を基準に選ぶのか」を整理しておくことが大切です。
安さで選んで失敗
安さに惹かれて契約したが、必要な機能が足りず使いこなせなかった。結局、上位プランへ乗り換えることに。
「簡単設定」のはずが…
「簡単に設定できます」と言われたが、実際には初期設定や項目設計に数か月かかってしまった。
サポートが届かない
困ったときに電話サポートがなく、メール返信を待つ間に業務が止まってしまった。
業務をSaaSに合わせる羽目に
自社の業務に合わせられず、結果として現場の業務をサービス側に合わせることになった。
実はPaaSだった
SaaSだと思って契約したら、実質的には自社で構築・設計が必要なPaaSだった。
やめたいのにやめられない
合わないと分かったのにデータを取り出せず、解約に違約金が発生して身動きが取れなくなった。
SECTION 01
判断基準1:月額料金だけでなく、トータルコストで比較する
「月額500円」「初期費用ゼロ」といった価格訴求は魅力的です。しかし、SaaS選定で見るべきなのは月額料金だけではありません。
安く見えるサービスでも、必要な機能がオプション料金になっていたり、容量や利用人数の制限によって実運用では上位プランが必要になったりすることがあります。また、初期設定やデータ移行、社内教育に時間がかかれば、その分の人件費も発生します。
月額料金
表示価格だけでなく、実運用に必要なプランの料金で比較します。
初期設定費用
項目設計、ユーザー登録、権限設定にかかる費用や工数を確認します。
オプション機能
必要な機能が標準プランに含まれているか、追加課金になるかを確認します。
データ移行
既存ExcelやCSVを取り込む手間、変換作業の負担を見積もります。
社内教育
マニュアル整備や操作研修にかかる時間と人件費を含めます。
定着サポート
運用が定着するまでに必要な伴走支援の有無や費用を確認します。
SECTION 02
判断基準2:SaaSとPaaSを混同しない
中小企業が最初に選ぶべきは、設定済みですぐ使えるSaaSです。SaaSとPaaSの違いを理解しないまま契約すると、「思っていたよりも自分たちでやることが多い」と気づくことになります。
| 項目 | SaaS | PaaS |
|---|---|---|
| イメージ | 完成した家にすぐ住める | 土地と工具を渡され、自分で家を建てる |
| 導入のしやすさ | ログインしてすぐ使える | 設計・構築が必要 |
| 自由度 | 機能は決まっている | 自由に作り込める |
| 必要なスキル | 基本的な操作のみ | 設計・設定できる人材が必要 |
| 向いている企業 | すぐに業務で使いたい中小企業 | 社内に専任IT人材がいる企業 |
PaaS型のサービスは「自由に作れる」と表現されることがありますが、裏を返すと、設定できる人材や構築の手間が必要です。中小企業が最初に選ぶ場合は、導入後すぐに業務で使えるSaaSかどうかを確認しましょう。
SECTION 03
判断基準3:「自分で設定できる」の落とし穴
SaaSの紹介ページでは、「ノーコードで誰でも作れる」「ドラッグ&ドロップで簡単設定」「プログラミング不要」といった言葉がよく使われます。しかし「自分で設定できる」は、裏を返せば「自分で設定しなければならない」という意味でもあります。
学習コスト
設定画面の使い方や機能を理解するまでの時間。
試行錯誤の時間
業務フローをシステムに落とし込むための調整時間。
本業の機会損失
設定作業に時間を取られ、本来業務が止まるリスク。
属人化リスク
設定した担当者が辞めると、誰も触れなくなるリスク。
SECTION 04
判断基準4:電話サポートの有無を確認する
中小企業では、IT担当者が総務・経理・営業管理などを兼任しているケースが多くあります。そのため、トラブル時にすぐ相談できるかどうかが、業務の安定運用を左右します。
電話サポートがあれば、困ったときに状況を説明しながらその場で解決できます。一方、電話サポートがない場合、FAQを探し、メールで問い合わせ、返信を待ち、追加質問してさらに待つ、という流れになり、業務が数日止まってしまうこともあります。
電話サポートの有無
そもそも電話で問い合わせができるサービスか確認します。
対応時間帯
平日のみか、業務時間と合っているかを確認します。
日本語対応
日本語で説明・対応してもらえるかを確認します。
緊急時フロー
障害や緊急事態に連絡できる導線があるかを確認します。
SECTION 05
判断基準5:自社業務に合わせられるカスタマイズ性
画面構成や入力項目を変更できない完全固定型のSaaSは、一見シンプルに見えます。しかし中小企業の現場では、業務フローや帳票、取引先ごとのルールに合わないことで、かえって手間が増える場合があります。
必要な項目が入力できずExcelで別管理が発生する、帳票の形式を変更できず取引先指定のフォーマットに対応できない、承認フローが現場と合わず紙の回覧が残る——こうした状態では、SaaS・Excel・紙の三重管理になりかねません。
入力項目の追加・削除
自社で必要な項目を画面に追加できるかを確認します。
帳票レイアウト変更
請求書・納品書など取引先指定の様式に対応できるか確認します。
承認フロー変更
自社の承認ルートに合わせて柔軟に設定できるかを確認します。
外部サービス連携
会計・販売管理など、他システムとデータ連携できるかを確認します。
SECTION 06
判断基準6:「導入社数」より、自社に近い事例を見る
SaaSを選ぶ際は、導入実績の数だけで判断しないことが大切です。重要なのは、自社と近い業種・規模の企業で実際に使われているかどうかです。
同業種での導入実績
自社と同じ業界・業務での活用事例があるかを確認します。同業の事例は、運用イメージを具体化する一番の材料です。
規模感の近い導入事例
従業員数や事業規模が近い企業の事例があるかを確認します。大企業向けの機能ばかりでは過剰投資になります。
継続率・解約率
導入後どれくらいの企業が使い続けているかを確認できるかも判断材料になります。
具体的な導入効果
「何時間削減」「何件のミス防止」など、具体的な数字や事例が公開されているかを確認します。
SECTION 07
判断基準7:始めやすさだけでなく「出口戦略」を考えておく
SaaSは月額制で始めやすい反面、やめるときの条件を確認しないまま契約してしまうことがあります。導入後に合わないと分かった場合や、別サービスへ移行したい場合に備え、契約前に出口戦略を確認しておきましょう。
データのエクスポート
自分たちのデータを取り出せるか、操作方法は明確か。
汎用フォーマット
CSVなど他システムで読み込める形式で出せるか。
最低利用期間・違約金
最低契約期間や、解約時のペナルティがないか。
移行支援
次のサービスへの移行を支援してくれる仕組みがあるか。
解約後のデータ保持
解約後にデータがいつまで残るか、削除のタイミングは明確か。
サービス終了リスク
提供会社の事業継続性、サービス終了時の対応方針を確認します。
SUMMARY
SaaS選定では「安い・簡単・すぐ使える」を鵜呑みにしない
7つの判断基準は多く感じるかもしれません。最低限、次の4軸で比較すると、失敗の確率を大きく下げられます。
トータルコスト
月額だけでなく、初期設定・学習・運用までを含めて本当に安いかを判断します。
サポート
困ったときに、すぐ電話で日本語で相談できるかを確認します。
カスタマイズ
自社の業務フローや帳票に合わせて運用できるかを見極めます。
出口
やめたいとき、データを持って出られるかを契約前に確認します。
SaaSは導入して終わりではありません。日々の業務で使い続けられ、社内に定着して初めて効果が出ます。
CHECK LIST
SaaS選定 自己診断チェックリスト
契約前に、以下の項目をどれだけ確認できているかチェックしてみてください。3つ以上「未確認」がある場合は、選定をいったん立ち止まることをおすすめします。
- 月額料金だけでなく、初期設定や運用工数まで確認した
- SaaSとPaaSの違いを理解した上で、SaaS型を選んでいる
- 初期設定を「誰が」「どれくらいの工数で」行うのか確認した
- 電話サポートの有無と対応時間を確認した
- 自社の業務に合わせて、項目や帳票を変更できるか確認した
- 自社と近い業種・規模の導入事例を確認した
- データのエクスポート方法と解約条件を確認した
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SaaS候補の比較アドバイス
御社の業務に合うサービス候補と、選定の判断軸をご提案します。
導入・定着の伴走
選んで終わりではなく、社内に定着するまでをご支援します。
押し売りはしません。まずは現状の整理から、お気軽にご相談ください。
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